田口 久美子
著作権のトラブル、誰に相談する? 行政書士ができること・著作権相談員制度を解説

ブログやSNSに写真を使いたいけれど、これは著作権的に大丈夫なのだろうかと迷ったことはありませんか。学校の授業や地域の講座で他人の作品を紹介したいとき、どこまでなら問題ないのか判断がつかず、確認を先送りしてしまっている方も少なくないと思います。
著作権は、特許や商標と違って登録をしなくても作品を作った瞬間に自動的に発生する権利です。そのぶん「どこに相談すればいいのか分かりにくい」という声もよく聞かれます。
このコラムでは、著作権に関する相談先の一つである行政書士(著作権相談員)にできることと、自分で対応する場合に知っておきたい基本ルールを整理して解説します。

この記事でわかること
著作権に関する相談を行政書士に依頼するとできること
「著作権相談員」とはどのような制度か
引用や著作物の利用で注意したい基本的なポイント
自分で判断してよいケースと、専門家に相談したほうがよいケースの目安
著作権相談員とは
著作権相談員とは?
日本行政書士会連合会が実施する養成研修を修了し、著作権に関する相談に対応できると認定された行政書士のことです。名簿は日本行政書士会連合会のホームページで公開されているほか、文化庁のホームページでも著作権相談に対応できる専門家として案内されています。
著作権相談員は、著作権の基本的な仕組みから、ライセンス契約や登録手続きといった実務まで幅広く相談に応じられるよう研修を受けています。「何から聞けばいいか分からない」という段階でも、まずは相談してみるという使い方で問題ありません。
行政書士(著作権相談員)に依頼するとできること
ライセンス契約書の作成支援
著作権者不明の場合の裁定申請(文化庁長官の裁定を受けるための申請)
著作権登録申請
著作権等管理事業者登録申請
このほか、学校や教育委員会向けの著作権教育に関する研修講師の派遣を行っている行政書士会もあります。
こんなときは注意が必要です
学校や職場など、日常のさまざまな場面で著作権への配慮が必要になることがあります。以下のようなケースは、判断に迷いやすいポイントとして挙げられます。
行為の例 | 判断のポイント |
|---|---|
資料を資料をそのまま複製して配布する | 著作権法で認められた範囲を超えると許諾が必要になる場合があります |
他人の文章や画像を「引用」として使う | 必然性があること・自分の文章と区別できること・出典の明示が求められます |
著作権者が分からない作品を利用したい | 個人の判断で無断利用せず、文化庁の裁定制度の利用を検討する必要があります |
他人の作品をもとに新しい作品を作る | どこまでが「参考」でどこからが「模倣」にあたるか慎重な確認が必要です |

引用(いんよう)とは?
著作権法第32条第1項が根拠となる、他人の著作物の一部を自分の著作物の中で示すことです。ただし個別の事情によって該当可否は異なるため、判断に迷う場合は専門家や文化庁の資料をご確認ください。

著作権の基本知識
著作者側
著作権は創作した時点で自動的に発生し、登録の義務はありません。
文化庁への登録は可能ですが、内容の審査ではなく事実関係の形式的な確認です。
著作物を利用する側
著作権者の所在が分からない場合は、無断利用ではなく文化庁長官の裁定制度の活用を検討する必要があります。
学校での著作物利用は一定範囲で無許諾使用が認められていますが、無制限ではないため注意が必要です。
こんな方には相談がおすすめです
こんな方には | おすすめの対応 |
|---|---|
制度の概要をまず知りたい、自分で調べられる | 文化庁の公開資料を確認しながら検討する方法もあります |
契約書作成や裁定申請など具体的な手続きを進めたい | 著作権相談員である行政書士への相談を検討する価値があります |
学校や地域で著作権教育の機会を設けたい | 講師派遣などについて行政書士会に相談する方法があります |
まとめ
著作権は登録不要で自動発生する権利ですが、そのぶん相談先が分かりにくい特徴があります。
「著作権相談員」の認定を受けた行政書士は、契約書作成支援や裁定申請、登録申請などに対応しています。
引用や教育現場での利用にはそれぞれ注意点があります。
どちらが正解というものではなく、ご自身の状況に合わせて相談先を選んでいただければと思います。
※本記事の情報は執筆時点のものです。制度や取り扱いは変更される場合があります。
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