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「知らなかった」では済まされない?IT発...

2026.07.18

IT法務

投稿者:田口 久美子

「知らなかった」では済まされない?IT発注で「取適法アウト!」になる5つのケース

下請代金支払遅延等防止法(通称:取適法 ※旧下請法)が施行されてから半年ほどが経ちました。「うちはちゃんと対応している」と思っていても、日々の発注実務の中に、実は違反につながる行為が潜んでいるケースがあります。

「知らなかった」は通じないのが法律の世界です。今日は、IT開発・Web制作を外注している発注担当者の方に向けて、現場でよく見かける「アウトなケース」をわかりやすくご紹介します。

5つのケース早見表

ケース

やってしまいがちな行為

違反になる理由

チャットだけで発注

明示義務違反

翌々月末払い

60日超過

振込手数料を差し引き

減額禁止違反

仕様変更の追加費用を払わない

減額禁止違反

価格協議を断り続ける

協議義務違反

ケース①:チャットで「いつもの感じで!」と発注している

「いつもの感じでよろしく」「先月と同じ内容で」。SlackやLINEでこんなメッセージを送って発注を完了させていませんか?

取適法では、発注の際に【業務内容・代金・納期・支払方法】などを【書面またはメール】などで明示することが義務付けられています。口頭やチャットの短いメッセージだけでは、この義務を果たしていることになりません。

ポイント
メールやSlackでの発注でも、業務内容・金額・納期・支払期日の4点が明記されていれば対応できます。発注書のフォーマットを整えておくと安心です。

ケース②:「毎月末締め、翌々月末払い」にしている

会社の支払いサイクルとして「翌々月末払い」を採用している会社は少なくありません。

しかし取適法では、成果物を受け取った日から数えて「60日以内」に支払期日を設定することが義務付けられています。

たとえば月初に納品を受けて、翌々月末に支払うと、受領から約60日を超える場合があります。現在の支払い条件が60日以内に収まっているか、一度確認することをおすすめします。

ポイント
「受領日から60日以内」というルールは、検査の有無にかかわらず適用されます。「検収後○日以内」という設定にしている場合も、受領日から数えて60日を超えないよう注意が必要です。

ケース③:契約書に書いていないのに「振込手数料」を差し引いている

「昔からの慣行だから、振込手数料は受注側負担で差し引いて送金している」というケースは多いですよね。

法律上、振込手数料を外注先に負担してもらうこと自体は全面禁止ではありません。

ただし、そのためには「あらかじめ締結した契約書や覚書などに 、振込手数料は受注側の負担とする旨が明確に書かれていること」が絶対条件です。

事前の合意(契約書への明記)がないまま勝手に差し引いて振り込むと、法律上の「代金の減額禁止」に抵触し、アウトになってしまうため注意が必要です。

ケース④:仕様変更を口頭で伝えて、追加費用を払っていない

開発の途中で「やっぱりこの機能も追加したい」「画面のデザインを変えてほしい」といった変更依頼は、IT現場ではよくあることです。

ただし、発注内容を変更した場合、その変更に伴う追加費用を外注先に負担させることは、取適法上問題になる場合があります。変更が発生したときは、内容と費用を書面で取り決めた上で進めることが大切です。

ポイント
変更依頼のたびに小さなメモでも記録に残す習慣をつけておくと、後からの「言った・言わない」トラブルを防ぐことができます。

ケース⑤:価格改定の相談を「うちは予算がないので」と断り続けている

外注先から「物価が上がっているので単価を見直したい」と相談が来たとき、「うちはずっとこの単価でやってきたから」「他に頼めるところがあるから」と取り合わないのは、取適法上の違反につながります。

発注側には、お相手からの価格改定の申し出に対して「誠実に話し合いの場を持つこと(協議義務)」が求められています。 

必ず値上げに応じる義務まではありませんが、契約書の中に「物価の変動等があった場合はお互いに誠実に協議する」という条項を入れ、実際に丁寧なコミュニケーションを取ることが会社の自衛に繋がります。

もし法律に違反してしまった場合のリスク

取適法に違反した場合、行政からの勧告や指導のほか、50万円以下の罰金が科されることがあります。

またリスクマネジメントの面で気がかりなのが、勧告に従ったかどうかにかかわらず、「違反した企業名」と「違反内容」がインターネット上で一般に公表されてしまう点です。

これは、企業の信頼性に直接影響するリスクでもあります。

「うちの発注実務、大丈夫かな?」と思ったら

「うちの今の契約書の書き方で、本当に取適法をクリアできているかな?」
「外注先と揉めたくないけれど、法的に正しい契約書に変えたい」

日々の発注実務を回しながら、慣れない法改正のチェックまで担当者様が一人で抱え込むのは、本当にプレッシャーが大きいものです。

当事務所では、IT現場の実務経験を持つ行政書士が、外注先との関係を守る契約書づくりをサポートしています。 

「まずは今使っている契約書を見てほしい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

土日・夜間・オンラインでのご相談も承っております。

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