贈与契約書は自分で作れる?そのリスクと失敗しない専門家の選び方

「贈与契約書って、ネットの雛形を使って自分で作れるのかな?」
今まさに、ご自分で作成しようと調べてこの記事に辿り着いた方も多いのではないでしょうか。
「家族間のことだし、できれば費用をかけずに自分で作りたい」
「雛形を少し書き換えるだけで十分じゃないの?」
そう思われるのは、ごく自然なことです。
結論からお伝えすると、贈与契約書をご自分で作成すること自体は法律上可能です。
しかし、後から思わぬ落とし穴が見つかり、契約自体が無効になったり、税務署や他の親族から疑われてしまったりするリスクが潜んでいます。
今日は、そもそも贈与契約書とは何なのか、自分で作る際のリスク、そしてご自身のケースに合った正しい相談先の選び方を分かりやすく解説しますね。
そもそも贈与契約書とは?なぜ家族間でも必要なの?
贈与とは、あげる側(親御さんなど)が「あげます」と言い、もらう側(お子さんなど)が「もらいます」と同意することで成立する契約です。
実は、民法の上では口約束だけでも贈与自体は成立します。
それなのに、なぜわざわざ「契約書」という書面を残す必要があるのでしょうか。
理由は大きく2つあります。
「言った・言わない」のトラブルを防ぐため
将来、他のご親族から「そんな話は聞いていない」と言われてしまったり「勝手に引き出したのでは?」と疑われたりするリスクを無くし、ご家族の絆を守ります。「正当な贈与」であることを客観的に証明するため
「いつ、誰が、いくらを、お互いの同意のもとで渡したか」という記録を残し、後から税務署などにしっかりと説明できるようにします。
自分で作ると何が危ない?知っておきたい3つのリスク
書類の形だけを真似して作成しても、実態が伴っていないと将来大きなトラブルに発展することがあります。
ご自分で作成する際に特に気をつけたいリスクは以下の3つです。
リスク①:「名義預金」とみなされて税金がかかる
祖父母がお孫さんの名前で口座を作り、契約書を作ってお金を振り込んでいたとしても、お孫さん自身がその口座を知らず、通帳や印鑑を祖父母が管理していた場合。
これは税務上「名義預金(実質的には祖父母の財産のまま)」と判断され、贈与そのものが認められないケースがあります。
なお、贈与税には年間110万円までは課税されない非課税枠があります(暦年課税の場合)。ただし、単に110万円以下に収めればよいというものではなく、贈与の回数や方法によって税務上の扱いが変わることがありますので、この点は税理士への確認をおすすめします。
リスク②:日付や資金移動の「つじつま」が合わない
契約書に書いた日付と、実際に銀行口座でお金が動いた日付が大きくズレていると、税務調査などで「後から日付を捏造したのではないか」と疑われてしまうことがあります。
書面だけでなく、実際の資金移動の記録と一致していることが何より重要です。
リスク③:後から「本人の意思ではなかった」と疑われる
親御さんが高齢の場合、贈与した時点での判断能力が十分であったかが後から問題になることがあります。
他の相続人から「勝手に親の口座から引き出したのでは?」と疑われ、ご親族同士の悲しいトラブルに発展してしまう事例は少なくありません。

なぜ専門家に頼むと安心なのか?
専門家に依頼する最大のメリットは、単に「きれいな書類を作る」ことではありません。
ご家族の想いをしっかりと聴き取り、将来の親族トラブルや法的リスクをあらかじめ防ぐ「予防法務の仕掛け」を施せる点にあります。
「いつ、誰が、どんな想いで、どのように財産を渡したのか」を客観的な証拠として正しく残すことで、未来のご家族の仲を守ることができるのです。
たとえば、リスク①でお伝えした「名義預金」の問題は、実は契約書を作っただけでは解消できません。本当に大切なのは、契約書の内容どおりに、受贈者ご本人が口座や印鑑を管理し、自由に使える状態になっているかどうかです。行政書士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、こうした「その後の財産の管理の仕方」まで含めてアドバイスを受けられるため、書面と実態を一致させやすくなります。ここが、ひな形をそのまま使う場合との大きな違いです。
リスク③でお伝えした「本人の意思ではなかったのでは」という疑いについても同様です。行政書士がご本人に直接お会いし、贈与の内容やお気持ちを丁寧に伺ったうえで契約書を作成することで、「第三者である専門家が、本人の意思をきちんと確認したうえで作成した書類である」という記録が残ります。ご家族だけで進めるよりも、専門家が間に入っていること自体が、後々の疑念を防ぐ材料になります。
なお、リスク②については、実際の資金移動の記録と書類記載が一致していれば問題ありませんので、ご自身による記載であっても、注意を払うことでリスク回避がしやすいと思います。
誰に頼むのが正解?専門家4者の役割比較表
贈与の手続きは、依頼する内容によって専門家の担当領域(職域)が明確に分かれています。
ご自身の状況に合わせて、最適な専門家を選ぶことが大切です。

専門家 | 主な役割・対応できること | こんな方におすすめ |
行政書士 | 現金や動産の「贈与契約書」の作成・意思の文章化 | 現金の贈与で、家族の約束を正しい文章に残したい |
司法書士 | 不動産(土地・建物)の名義変更(所有権移転登記) | 実家や土地などの不動産を贈与したい |
税理士 | 贈与税の税額計算・節税シミュレーション・税務申告 | 非課税枠や特例の利用、税金の負担が心配なとき |
弁護士 | 親族間でのトラブル交渉・調停・訴訟の代理人 | すでに親族間で話し合いがこじれているとき |
ケース別の選び方ガイド
「現金のお金を親子間で渡したい」 ➔ 行政書士で契約書を作成し、税金の疑問があれば税理士へ確認。
「実家や土地を子どもに譲りたい」 ➔ 司法書士(名義変更)と税理士(贈与税の計算)の連携が必須。
「すでに親族同士で揉めている」 ➔ 代理人となれる弁護士へご相談。
まとめ
自分で贈与契約書を作ることは可能ですが、日付の整合性や名義預金のリスクなど、押さえるべきポイントは意外と複雑です。
「自分の場合はどこに頼めばいいんだろう?」と迷われたときも、どうぞご安心ください。
当事務所では、お客様の想いに優しく寄り添いながら契約書を作成し、税務や不動産の名義変更が必要な場合は、日頃から信頼して連携している税理士や司法書士へワンチームでお繋ぎいたします。
「まずは自分が作った文面をチェックしてほしい」という段階のご相談も大歓迎です。
土日や夜間の時間帯、オンラインでのご相談も承っております。
大切なご家族の「これから」のために、まずはゆっくりお話をお聞かせくださいね。
※本記事は一般的な解説です。贈与税の取り扱いについては個別の事情により判断が異なります。最新の法令や個別の状況によって取り扱いが異なる場合があります。
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