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「特定商取引法に基づく表記」とは?書き方...

2026.08.21

田口 久美子

IT法務

「特定商取引法に基づく表記」とは?書き方・テンプレート・個人事業主に特有の注意点まとめ

ネットショップやオンライン講座の販売ページで、「特定商取引法に基づく表記」というメニューを見たことはありませんか?

インターネットで商品やサービスを販売する場合、この表記が法律で義務付けられています。対象になるのは会社だけではありません。個人で通信販売を行う場合も表示が必要です。

この記事では、次の3点を順番に解説します。

  • 特定商取引法に基づく表記とは何か

  • 実際の書き方・すぐ使えるテンプレート

  • 個人・個人事業主の方が特に気になるポイント(住所や電話番号の公開など)

特定商取引法に基づく表記とは

対象になる事業者

通信販売(郵便、電話、インターネット等で申込みを受ける取引)を行う場合、事業者は特定商取引法第11条に基づき、広告に一定の事項を表示する義務があります。

法人か個人かは問いません。個人でネットショップやハンドメイド販売、オンラインコンサルなどを行う場合も対象です。

表示すべき事項の全体像

表示が必要な事項は、実は15項目にものぼります。細かく見ると大変なので、まずは3つのグループでおおまかに捉えておくと分かりやすいです。

具体的な書き方は次の章で、個人事業主特有の注意点はその次の章で詳しく解説します。

表示場所のルール

表示は、商品の紹介ページなど、消費者が広告を見て申込みができる場所にて行う必要があります。特に、申込みの撤回・解除に関する事項は、消費者が見やすい場所に分かりやすく表示することが求められています。

実務上は、サイトのフッター(一番下の部分)などに「特定商取引法に基づく表記」というリンクを置き、どのページからでも迷わずたどり着けるようにしておくとよいでしょう。

書き方のポイント・テンプレート

15項目すべてを丁寧に書こうとすると大変ですが、実は間違えやすいポイントはある程度絞られます。ここでは特に相談の多い3項目を、OK例・NG例とあわせて整理します。

送料

  • 送料込みなら「送料込み」、別ならその送料の金額を明記します

  • 「送料実費」というだけの表示は不可です(消費者が事前に金額を予測できないため)

  • 商品ごとに送料が異なる場合は、最高額・最低額や数例の表示でも大丈夫です

表示例

判定

送料:全国一律800円

◯ 可

送料:実費

✕ 不可

送料:地域により700円〜1,500円

◯ 可(目安として金額の範囲を明示)

支払時期・引渡時期

  • 「できるだけ早く」「入荷次第」といった曖昧な表現は不可です

  • 「◯日以内」「◯月◯日まで」のように、具体的な期間・期限で示します

  • 「直ちに」「即時」という表現は、時期が明らかになっているとみなされ可能です

表示例

判定

入金確認後、直ちにお届けします

◯ 可

入金確認後発送します

✕ 不可(引渡時期が不明確)

入荷次第発送します

✕ 不可(時期を示したことにならない)

返品特約(申込みの撤回・解除)

  • 「返品についてはその都度ご相談に応じます」だけの表示は不可です

  • 返品を受け付ける場合・受け付けない場合をそれぞれ具体的に示す必要があります

  • 返品を一切認めない場合も、その旨を明示する必要があります

表示例

判定

返品についてはその都度ご相談に応じます

✕ 不可(条件が不明確)

商品到着後7日以内、未使用の場合に限り返品を承ります
(送料はお客様負担)

◯ 可

商品の性質上、返品・交換はお受けできません

◯ 可(返品を認めない旨を明示)

コピペで使えるテンプレート文例

上記を踏まえた記載例です。ご自身の販売条件に合わせて書き換えてお使いください。

項目

記載例

事業者の氏名(名称)

山田 太郎

住所

〇〇県〇〇市〇〇1-2-3

電話番号

000-0000-0000

販売価格

各商品ページに記載の価格(消費税込み)

送料

全国一律800円(〇〇円以上のご購入で送料無料)

送料以外に必要な金額

代金引換手数料330円、梱包費等(該当する場合のみ)

お支払い方法

クレジットカード、銀行振込、代金引換

お支払い時期

クレジットカード:ご注文確定時/銀行振込:ご注文から7日以内

商品の引渡時期

ご入金確認後、5営業日以内に発送

申込みの撤回・解除(返品について)

商品到着後7日以内、未使用の場合に限り返品可(送料はお客様負担)

次のような場合は、該当する項目も追加してください。

  • 個数限定販売や先着順など、申込みの条件がある場合:その条件と期間

  • 定期購入・頒布会など、契約を2回以上継続して結ぶ場合:その旨と販売条件

  • メールマガジン等で広告を送る場合:事業者のメールアドレス

個人・個人事業主が気をつけたいポイント

「本名や自宅住所を公開したくない」「屋号だけの表示ではダメなの?」――個人で通信販売を始める方から、こうした相談がよく寄せられます。ここでは、消費者庁の考え方に沿って、個人事業主特有の疑問に答えます。

屋号だけの表示は不可

  • 表示すべき氏名は「戸籍上の氏名」または「商業登記簿上の商号」です

  • 屋号やサイト名、ハンドルネームのみの表示は認められません

表示例

判定

○○ショップ(屋号のみ)

✕ 不可

山田太郎(屋号:○○ショップ)

◯ 可

私書箱は住所として認められない

住所として表示すべきなのは「現に活動している場所」です。郵便物を受け取れるだけの私書箱は、この要件を満たさないため、住所表示としては認められません。

バーチャルオフィス・ECプラットフォームの住所は条件次第で使える

一定の条件を満たせば、個人事業者がバーチャルオフィスやECプラットフォーム運営会社の住所・電話番号を表示することも認められています。主な条件は次のとおりです。

自宅住所を公開したくない場合は、こうしたサービスの利用を検討する余地があります。

電話番号は24時間対応しなくてよい

電話番号を表示すると、いつでも電話がかかってくるように思われがちですが、営業時間外は留守番電話などで対応すれば問題ありません。

開示に不安がある場合の対応

住所・氏名の公開に不安がある場合、対応方法は大きく2つあります。

  • 自分で調べて対応する
    上記のバーチャルオフィスの活用や、消費者からの請求時に「遅滞なく」情報提供する体制を整えることで、一部表示を省略できる制度を利用する方法があります

  • 専門家に相談する
    省略できるかどうかは状況によって異なります。「自分のケースで住所・氏名の公開を避けられないか」「省略の要件を満たせているか」を個別に確認したい場合は、行政書士などの専門家に相談する方法もあります

どちらが正解ということはなく、ご自身の状況に合わせて選んでいただければと思います。

まとめ

  • 特定商取引法に基づく表記は、通信販売を行う事業者であれば個人でも表示義務があります

  • 送料・支払時期・引渡時期・返品特約は、特に表示ミスが起こりやすいポイントです

  • 個人事業主の場合、屋号だけの表示や私書箱の利用は認められませんが、バーチャルオフィス等を条件付きで活用する方法もあります


※本記事の情報は執筆時点のものです。制度や取り扱いは変更される場合がありますので、実際の手続き前に管轄窓口までご確認ください。

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