【開発会社向け】終わらない仕様変更、完了しない納品——これ、契約書の工夫で防げます

「お客さんからの仕様変更が多すぎて、どこまで対応すればいいか分からなくて……」
「クライアントからの仕様変更の依頼が止まず、延々と対応し続けています……」
システム開発の現場でよく聞く悩みです。
「最初の要件と全然違うものを作らされている」
「追加要望が止まらない」
——こういった状況、実は契約書の設計と深く関わっています。
行政書士として開発会社やフリーランスの方の契約書作成・見直しに携わる中で、仕様変更トラブルに関するご相談は少なくありません。今日は、そのトラブルを未然に防ぐための契約書の考え方を、やさしく解説します。
「この機能も追加したい」終わらない要望に愕然
システム開発の契約は、あらかじめ決めた「仕様」に基づいてものを作る請負契約(または準委任契約)であることがほとんどです。最初に合意した仕様の範囲内で完成させる義務を負う代わりに、完成すれば報酬を受け取れる——それが基本的な構造です。
請負契約とは?
決められた成果物を完成させることを約束する契約。追加の仕様変更は、原則として別途合意・費用が必要です。
問題は、「仕様変更」が合意のないまま積み重なっていく場合です。
「少し変えるだけだから」というクライアントの言葉に応じているうちに、当初想定の3倍の作業量になっていた——というのは珍しいことではありません。
よくあるのが、こんなケースです。Webシステムの開発を請け負い、リリース直前になってクライアントから「やっぱりこの機能も追加したい」という要望が続く。気づけば納期を大幅に超過し、追加費用の話をしようとしたところ「最初から含まれていると思っていた」と言われてしまう。契約書に変更管理のルールが一切ないと、どちらの主張が正しいのか判断する根拠がなく、費用を請求できないまま泣き寝入り——ということになりかねません。

逆に、「仕様変更が発生したときはどう手続きするか」を契約書にあらかじめ明記し、変更申請用の覚書ひな型を整えておくと、追加要望が来たときに「では覚書を交わしましょう」と自然に言える環境が生まれます。追加費用をきちんと回収できるだけでなく、ルールが明文化されていることでクライアントとの関係も健全に保てる——これが、契約書を整えることのビジネス上のメリットです。
仕様変更のルールを契約書に盛り込む
仕様変更トラブルを防ぐ最も効果的な方法は、仕様変更が発生したときの手順を契約書に明記することです。具体的には、次のようなルールを定めておきます。
口頭での変更指示には、原則として応じないこと
仕様変更の申し出をする場合は、書面(メールを含む)で正式に申請すること
受け入れる場合は、追加費用・納期変更について覚書を交わすこと
覚書(おぼえがき)とは?
当初交わした契約(本契約)の内容を変更したり、新しい約束(追加費用や納期の変更など)を追加したりするときに交わす書面のこと。タイトルが「覚書」でも「合意書」でも、お互いが合意した内容を証明する法的な効力は同じです。
「書面で依頼してくれなんて、杓子定規になってしまわないか」と感じる方もいるかもしれません。でも、これはプロとして適正な対価を受け取るためのあるべきプロセスです。明文化されたルールがある方が、クライアントとの関係も長期的に健全に保てます。
変更を求められたとき、どう伝えるか
たとえルールを決めていたとしても、当初の契約では遂行できないような追加要望が来たとき「どう断ればいいか」と迷う方は多いでしょう。感情的に「もうできません」と言うより、「ご要望はよく分かりました。現行の契約範囲を超えるため、別途お見積もりをご提示します」と伝えることで、関係性を保ちながら境界線を引くことができます。
契約書に仕様変更のルールがあれば、こうした場面でも「契約上の手続きとして」提案できます。感情論ではなく、プロとしての判断として伝えられる——それが、契約書を「盾」として使うということです。
「要件定義書」と「仕様書」が最初の防衛線
仕様変更のルールと並んで重要なのが、契約前の要件定義書・仕様書の整備です。「こういうものを作る」という合意の証拠が残っていれば、「それは聞いていない」という争いを防ぐことができます。
さらに、要件定義書・仕様書に「この文書に記載のない機能の追加は別途見積もり」と一文明記しておくだけで、仕様変更のルールがより明確になります。それにより追加要望が来たときの対話が、ぐっとスムーズになります。
押し寄せる仕様変更に悩むその前に、契約書の整備を
仕様変更のトラブルは、起きてから対処しようとすると、時間も費用も関係性も消耗します。何より、せっかくの仕事がきちんと報酬につながらないのは、受注側にとって大きな損失です。仕様変更が発生したときの手順をあらかじめ契約書に盛り込んでおくことが、自分の仕事と対価を守る最善の準備です。
当事務所では、開発契約書のひな型作成・仕様変更に関する条項の追加・覚書ひな型の整備など、ご状況に合わせてご対応しています。「契約書を一から作りたい」「今の契約書を見直したい」という方も、まずはお気軽にお問い合わせください。
付録:無料で試せるオリジナルチェックシート
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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