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故人のスマホのロックが解除できない場合は...

2026.10.05

田口 久美子

相続

故人のスマホのロックが解除できない場合はどうすれば?|ネット証券・サブスク・SNS、デジタル遺産の相続で行政書士ができること

「亡くなった家族のスマホを前に、何から手をつければいいのか分からない」

「スマホさえ開ければ、どこの銀行を使っていたか分かるはずなのに」

ご家族を亡くされたあと、こうした場面で立ち止まってしまう方は少なくありません。ネット銀行やネット証券、サブスクなどは、紙の通帳や郵便物がないことも多く、手がかりの多くがスマホの中に集まっているためです。

そして、スマホの中の財産の整理は、実は「スマホが開けば終わり」という話ではありません。

この記事では、デジタル遺産の相続で起こりやすいことと、行政書士がどこまでお手伝いできるのかを整理します。

この記事でわかること

  • デジタル遺産の整理が意外と大変な理由

  • スマホを前に、まず「やらないでほしい」こと

  • デジタル遺産の相続で、行政書士がお手伝いできること

  • 行政書士にはお手伝いできない領域とは

スマホの中の財産は、思ったより「大ごと」になりやすい

デジタル遺産とは?
スマホやパソコンの中、インターネット上に残された、故人の財産やデータ、契約のことです。法律上の正式な用語ではなく、一般的な呼び方として使われています。

デジタル遺産の整理が大変になりやすいのは、次のような理由からです。

  1. 財産があることに気づきにくい
    ネット銀行やネット証券、暗号資産、スマホ決済の残高などは、通帳や郵便物が届かないことも多く、ご家族が存在を知らないまま、ということが起こりがちです。

  2. お金が出ていくものも、隠れている
    サブスクやクラウドの利用料は、解約されるまで引き落としが続きます。また、後払い決済やネット完結型のローンなどがあれば、それも相続の対象になります。

  3. スマホを開くことができても、すぐには手続きできない
    ネット上のサービスには、それぞれの会社が定めた「亡くなった場合の手続き」があります。スマホが開けたからといって、ご家族が故人のIDでログインして解約や出金ができる、ということにはなりません。

  4. ご家族の間のトラブルにつながることも
    スマホには、故人のプライベートなやり取りも多く残っています。「誰が中を見るのか」「どこまで見てよいのか」で、ご家族の間に思わぬすれ違いが生まれることもあります。

スマホを前に「やらないでほしい」こと

慌てて動いた結果、取り返しがつかなくなってしまうこともあります。まずは、次の点にご注意ください。

▲ 望ましくない例

◎ 望ましい例

思いつく数字を、パスコードとして何度も入力してみる

入力は控え、手帳やメモなど、パスコードの手がかりを先に探す

通信費がもったいないので、すぐに携帯電話を解約する

手続きが落ち着くまでは、回線を残しておくことを検討する

故人のIDとパスワードで、各サービスにログインしてみる

各社が用意している、亡くなった方のための正式な窓口を使う

話し合いの前に、ネット銀行やスマホ決済から出金する

相続人全員の話し合いがまとまるまで、残高には手をつけない

パスコードの誤入力を繰り返すと、しばらく操作ができなくなったり、設定によっては中のデータがすべて消えてしまったりするおそれがあります。

また、ネット銀行などの多くは、二段階認証という仕組みをとっています。この仕組みでは、本人確認のためにSMS(ショートメッセージ)で確認コードが送られてきます。携帯電話を解約してしまうと、このコードを受け取れなくなり、手続きが進めにくくなることがあります。

二段階認証(にだんかいにんしょう)とは?
パスワードに加えて、スマホに届く確認コードなどを入力して、本人であることを確かめる仕組みです。ネット銀行や証券会社などで広く使われています。

デジタル遺産の相続で、行政書士がお手伝いできること

「行政書士って、そこまでしてもらえるの?」と驚かれることもありますが、デジタル遺産の相続では、次のようなお手伝いが可能です。

1. スマホの「保全」についてのアドバイス

最初のご相談の段階で、スマホの扱い方(入力を控える、回線をすぐに解約しない、充電を保つ、など)をお伝えし、大切な手がかりを失わないようにします。

2. スマホの「外」からの財産調査

スマホが開かなくても、郵便物、通帳の入出金履歴、クレジットカードの利用明細などから、利用していたサービスを探すことができます。証券口座については、「ほふり」への開示請求を、ご家族に代わって行うことも可能です。

ほふり(証券保管振替機構)とは?
上場株式などの口座情報を管理している機関です。相続人などが請求すると、故人がどの証券会社に口座を持っていたかを調べることができます(所定の手数料がかかり、結果が届くまでに一定の期間がかかります)。

3. ロック解除が必要な場合の、専門業者のご紹介

行政書士がロックを解除することはできませんが、提携する専門業者をご紹介できます。その際、後々のトラブルを防ぐため、相続人全員の同意書の作成もお手伝いします。

4. 各サービスへの相続手続きの書類準備

ネット銀行やネット証券、暗号資産の取引所、スマホ決済サービスなどに対し、それぞれの会社が定める手続きに沿って、残高の証明の請求や解約・払い戻しの書類を整えます。当事務所が故人のIDでログインすることはなく、あくまで各社の正式な窓口を通じて進めます。

5. デジタル遺産を含めた財産目録・遺産分割協議書の作成

見つかった財産を一覧にまとめ、相続人全員の合意を遺産分割協議書にします。ネット上のサービスは支店名や通帳がないことも多いため、サービス名や登録メールアドレスなど、手続きに必要な情報まで正確に書き込みます。また、話し合いの後に財産が見つかった場合の扱いをあらかじめ決めておく条項を入れることもできます。

遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)とは?
相続人全員で話し合い、誰がどの財産を受け継ぐかを決めた内容を書面にしたものです。金融機関などでの相続手続きに使います。

他の専門家につなぐケース

一方で、行政書士にはお手伝いできない領域もあります。

こんなときは

相談先

「誰がスマホを見るか」「財産をどう分けるか」で、ご家族の意見が対立している

弁護士

ネット証券や暗号資産が見つかり、相続税の申告が必要になりそう

税理士

後払い決済やローンなど、借金のほうが多そうで、相続放棄を考えたい

弁護士・司法書士

不動産の名義変更(相続登記)が必要

司法書士

特に相続放棄は、原則として期限が決められている手続きです。借金が見つかった場合は、できるだけ早めにご相談ください。当事務所では、提携する弁護士・司法書士・税理士へスムーズにおつなぎします。

一番の備えは、「生前の整理」です

ここまでご紹介したように、準備がないまま相続が始まると、調査や手続きに時間と手間がかかります。

もし、故人が生前に「どこに何があるか」をまとめていてくれたら、多くの手続きはずっと楽になります。ご家族のこうしたご経験から、「自分のときは、家族に同じ思いをさせたくない」と、ご自身の備えを始められる方もおられます。

▶ 自分が亡くなった後、ネット証券やサブスクはどうなる?家族が困らないためのデジタル遺産の整理のコツ(本人向けコラム)

まとめ

  • デジタル遺産は、財産の存在に気づきにくく、スマホが開いてもすぐに手続きできるとは限りません

  • パスコードの推測入力、携帯電話の早すぎる解約、故人のIDでのログインは控えましょう

  • 行政書士は、スマホの外からの財産調査、専門業者のご紹介、各社への手続き書類の準備、協議書の作成までお手伝いできます

すべてをご家族だけで抱える必要はありません。状況に合わせて、頼れるところは専門家に任せていただければと思います。

当事務所について

当事務所(くみ行政書士事務所/新潟市西区)の代表は、大手企業のIT部門での実務経験を持つ行政書士です。また補助者は、広範なIT分野でのアドバイザー・ヘルプデスクの経験を持つのエキスパートです。スマホやネットサービスの仕組みを踏まえながら、相続手続き全体の流れを、わかりやすくご案内します。

「スマホが開かず、何から始めればいいかも分からない」という段階からのご相談も承っております。新潟市内であれば、ご自宅への訪問相談も可能です。お気軽にご相談ください。


※本記事の情報は執筆時点のものです。制度や取り扱いは変更される場合がありますので、実際の手続き前に管轄窓口または当事務所までご確認ください。

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戸籍集めや遺産分割協議書の作成など、相続に関する手続きをまとめてサポートしています。